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そうだ!美術館へ行こう!第12回『ナショナル・ギャラリー』 @ [美術系独自まとめ]


そうだ!美術館へ行こう!第12回『ナショナル・ギャラリー』 @ [美術系独自まとめ]
管理人@博士ちゃんねる
Elgar - Pomp and Circumstance March No. 1 (Land of Hope and Glory) (Last Night of the Proms 2012) イギリスというと、国民の中にクラシック音楽が浸透しているわりに、誰でも知ってる著名なクラシック作曲家が極端に少なく、その中ではエルガーの「威風堂々」は比較的よく演奏されるということで、イギリス人はエルガー大好きです。
今回ご紹介する美術館の重厚な雰囲気とピッタリではないでしょうか。

というわけで、今回の美術館へ行こう!はロンドンを代表する美術館のひとつ、「ナショナル・ギャラリー」です。
ヨーロッパ芸術の粋を集めた豪華な常設作品がそこそこいっぱいあります。どうぞお楽しみを。
観光案内
トラファルガー広場周辺
毎度この観光案内がだいぶ手間がかかるので、Googleマップのキャプですいませんが、このとおり有名な「トラファルガー広場」のすぐ目の前です。
地図には見えてませんが、すぐ右下のところにはテムズ川が大きく湾曲してるところがあり、まぁこのへんはロンドンの中心街で有名な観光名所が盛りだくさんですので、あまり退屈はしないところかなと思います。

Googleマップのこのへんです。
外観と歴史
ナショナル・ギャラリー外観
トラファルガー広場の大噴水から見たらこんな感じです。神殿調というかね、建物はものすごでかいんですね。来館者数は世界第3位!
1910年頃のナショナル・ギャラリー
ヨーロッパの名だたる美術館というのは、たいていの場合、王族のコレクションを元に作られるんですが、なぜかイギリスではこういったことがまったく起こらず、いまだに王族の美術コレクションは王室が所有しています。

というわけで、時は19世紀、「太陽の沈まない帝国」と呼ばれた大英帝国は、我が国にも気品のある美術館を…という動きが盛んになり、1824年、銀行家のジョン・ジュリアス・アンガースタインのコレクションをまとめたものが、ペルメル街に開館。これが始まりです。
その後2回に渡り建物は移り変わり、現在のが3代目で、1832年に完成したものに手を加えて増築しています。
歴代館長の確かな審美眼によってコレクションを増やし続け、現在では絵画の総点数が約2300点、選りすぐりの多彩なコレクションが揃っております。
内装
ナショナル・ギャラリー内装
ナショナル・ギャラリー内装
内装はこのように、伝統とモダンがうまいことミックスしたような、わりと上品な感じかなと思います。
建物はでかいですから、全般的にどれを見ても天井が高く、開放感があります。
主な所蔵作品
西洋絵画の大きな変遷があった時代の「ジョットからセザンヌまで」を中心に、けっこうバラエティに富んだコレクションです。
素人から玄人まで楽しめる美術館ではないでしょうか。
雨、蒸気、速度
雨、蒸気、速度
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー当美術館の目玉作品のひとつ。霧雨の中驀進してくる機関車の「速度」を描いた作品として物議を醸した当作品は、発表時にあまりに描写が抽象的なことから必ずしも高い評価は得られませんでしたが、当代きっての評論家ラスキンはこれを絶賛。後の印象派の画家たちにも大きな影響を与えました。外からは見えないはずの機関車の火室がボンヤリ見えています。

サン・ラザール駅
30年後、フランスで描かれたモネの「サン・ラザール駅」(シカゴ美術館蔵)。蒸気の描写にターナーの作品の影響が見て取れます。
鏡を見るヴィーナス
鏡を見るヴィーナス
ディエゴ・ベラスケススペインの宮廷画家であったベラスケスは、イタリアでティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」を見て以来、ヴィーナスを描きたい!と強く思っていたそうですが、厳格なカトリックであるスペイン宮廷では裸体を描くのはなかなか許されなかったと言います。これはイタリアを訪れた際にドサクサに紛れて描いた渾身の、そして生涯唯一の裸の美の女神。くびれが色っぽい。

ウルビーノのヴィーナス
参考までに第1回でやったティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」。ウフィツィ美術館蔵です。
アルノフィニ夫妻
アルノフィニ夫妻
ヤン・ファン・エイク「神の手を持つ画家」と名高い、油彩技法の確立者であるファン・エイクの特有の、緻密さと透明感に溢れる写実的な作品。後ろの鏡の上に書かれた文字はラテン語で「ヤン・ファン・エイクここにありき」。真ん中の青衣の男性は画家本人という説も。

アルノフィニ夫妻(部分)
参考までに鏡部分のアップ。こ、細かい…!
雨傘
雨傘
ピエール=オーギュスト・ルノワール光をキャンバスの上にどう表現するか…ということに腐心したルノワールですが、後年、印象派的な表現にこだわりすぎて自分の作品が単調になっているのではないか…と悩みます。イタリア旅行の後に制作が再開されたこの作品は、印象派的表現から新古典主義へのまさに転換期に描かれており、雨傘などには輪郭が強く出ています。
ウィリアム・ハムレット夫妻
ウィリアム・ハムレット夫妻
トマス・ゲインズバラフランドルの画家ヴァン・ダイクの影響を強く受けて描かれた、等身大の肖像画。緻密に描かれた布地のひだ、優雅で自然な仕草、表情などにその影響が見て取れます。イギリスの芸術は時として非常に内省的ですね。
座るモワテシェ夫人
座るモワテシェ夫人
ドミニク・アングル女性の柔らかな曲線と緻密に書き込まれた服の模様は、まさしくアングルの真骨頂。13年もかけて理想の美を追求したと言われる作品です。頬に軽く当てられた人差し指の付け根部分は解剖学的にはおかしいのですが、アングル独特の美学により、優美さが優先されています。
アニエールの水浴
アニエールの水浴
ジョルジュ・スーラ後に独特の点描表現で、新しい絵画技法を模索した若きスーラの作品。印象派やその後継者たちによって崩れてしまった「対象の形」を取り戻すべく、古来から受け継がれた安定感のある構図で描かれました。もうすでに点描表現の元になる形や、特徴的なパステルカラーが現れていますね。
ひまわり
ひまわり
フィンセント・ファン・ゴッホファン・ゴッホは同じヒマワリが枯れるまで4点の作品を制作していますが、これは気に入って署名を入れた2点のうちのひとつ。ミュンヘンにあるノイエ・ピナコテーク蔵の12本の「ひまわり」を元に制作された4番目のものと言われています。彼にとってこの花は太陽、明るさの象徴と考えていたとか。
干草車
干草車
ジョン・コンスタブル「自然派」と呼ばれる画家グループのコンスタブル。近代風景画の先駆者と目されています。おりしもロイヤル・アカデミーが設立され、絵画芸術分野ではフランスやイタリアに遅れを取っていたイギリスの怒涛の巻き返しが始まる時期。19世紀にはラファエル前派が花開くことに。
麦わら帽子の自画像
麦わら帽子の自画像
エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン当サイトでルブランの自画像として使ってる元絵。女流画家としてマリー・アントワネットお抱えの画家であったルブランは、その美貌でも有名でした。20代後半の頃フランドルを旅行しており、その頃描かれたもので、彼女の輝くばかりの自負が伺える作品です。
水浴する女
水浴する女
レンブラント・ファン・レイン女性の中から光を発しているような、静謐な中にも官能的な雰囲気を持つ、ごくプライベートな写生画。このようにただ水浴している様子…のような主題のない作品を描くことは当時としては非常に珍しく先駆的な作品です。愛妻サスキアを失ったあと、後妻に迎えたヘンドリッキェがモデルと言われています。
愛の寓意
愛の寓意
アーニョロ・ブロンズィーノブロンズィーノの代表作のひとつ。ヴィーナスの白い肌と背景の青い布のコントラストが美しく、キューピッドとの接吻がなにやらたいへんエロチックな作品。左端の老女は「嫉妬」を、花びらを持つ愛の神アモルは「快楽」を、アモルの後ろの下半身が獣の少女は「欺瞞」を、右上の老人は移り変わる愛の様相「時」をそれぞれ表しています。
ヴィーナスとマルス
ヴィーナスとマルス
サンドロ・ボッティチェッリウトウトとまどろむ戦の神マルスを愛情深く見つめる美の女神ヴィーナス。その周りでマルスの武器で遊ぶ、牧神たち…。新婚夫婦の寝室を飾る作品だと言われています。
アンドルーズ夫妻
アンドルーズ夫妻
トマス・ゲインズバラ生涯に800点もの肖像画を残したゲインズバラですが、「肖像画は金のため、風景画は楽しみのため」と常々言っていたそうです。風景画と肖像画の融合という手法を編み出し、単なる肖像画にドラマチックな物語性を加えています。当時イギリスは「ジェントリー」という大地主が力を持っており、そういった背景をも感じさせるのどかな田園風景です。
海港、シバの女王の乗船
海港、シバの女王の乗船
クロード・ロラン17世紀フランス、新古典主義の画家クロード・ロランの代表作。歴史や神話に題材をとった理想的な風景画を追求しました。シバの女王は旧約聖書に出てくる聡明で知られた美しい女王。ソロモン王との会談を望みイスラエルに赴くのですが、その乗船の様子です。
カルタゴを建設するディド
カルタゴを建設するディド
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーさて、同じく理想的な風景を模索したターナーですが、上記クロード・ロランに深く傾倒しており「とうてい彼にはかなわない!」と嘆いたとか。この作品は上記「海港、シバの女王の乗船」と隣合わせに展示して欲しい、と遺言を残しています。両者を比べてみるのもまた一興かと思います。
テュイルリー公園の音楽祭
テュイルリー公園の音楽祭
エドゥアール・マネサロンへの出品を「真の戦場」ととらえていたマネですが、古臭い手法を嫌い、中心が明らかではない大胆な構図で描かれたテュイルリー公園での音楽会の様子。「印象派の父」とも呼ばれ、古典と新手法の転換期に活躍しました。黒い服は当時の流行の最先端。左端の紳士はマネ本人と友人たちがモデルです。
エヴァ・ゴンザレスの肖像
エヴァ・ゴンザレスの肖像
エドゥアール・マネマネの愛人でもあり唯一の直弟子でもあった女流画家のエヴァ・ゴンザレスを描いた作品。エヴァはこのために40回以上もモデルをつとめ、頭部は何度も何度も書きなおされています。他に、ドガのためにモデルをつとめた美貌の画家ですが、38歳で早逝してしまいます。
ラ・グルヌイエールの水浴
ラ・グルヌイエールの水浴
クロード・モネというわけで、マネと名前がよく似ているモネですが、サロンでもよく間違われて展示されたといいます。ラ・グルヌイエールはセーヌ河畔の娯楽場で、水面に移る風景を筆の四角い模様で描き、当時としては斬新も斬新な表現でした。
キリストの埋葬
キリストの埋葬
ミケランジェロ・ブオナローティキリストの埋葬はミケランジェロが最も重視したテーマですが、徹底的な人体模写による写実的な未完の作品。25歳のころに描かれ、理想の肉体を追求した若きミケランジェロでした。
大使たち
大使たち
ハンス・ホルバインイギリスに訪れた若き大使たちを描いた寓意に富む小ホルバインの代表作。左は聖ミカエル騎士団の騎士で、フランスの使節としてやってきたダントヴィル。右はホルバインの友人でラヴォール司教のセルヴ。どちらもまだ20代の若者ですが、手前には薄く引き伸ばされたドクロが描かれ「死を思え」の教訓が込められています。
ペルシャザルの饗宴
ペルシャザルの饗宴
レンブラント・ファン・レインペルシャザルというのはバビロニアの王様。エルサレム神殿からの略奪品を前に愛妾たちと饗宴を開いていると、突然現れた光り輝くヘブライ文字に恐れおののく…という旧約聖書のエピソードより。バビロニア人には誰も理解できず、王国の滅亡を予言する予言者たち。その夜王は急死してしまいます。
サン・ロマーノの戦い(朝)
サン・ロマーノの戦い(朝)
パオロ・ウッチェロ初期ルネッサンスの画家であるウッチェロの代表作。15世紀、交易の拠点をめぐり、フィレンツェと近隣のルッカとの間に戦争が勃発、8時間にも渡る激戦のその様子「朝」「昼」「夜」の三部作で描かれましたが、これはそのうちの「朝」です。計算され尽くした構図で奥行きと迫力を表現しています。

サン・ロマーノの戦い(昼)
「昼」バージョンはルーヴル美術館に、
サン・ロマーノの戦い(夜)
「夜」バージョンはウフィツィ美術館に、所蔵されていますので、ついでに。
イザベル・デ・ポルセール
イザベル・デ・ポルセール
フランシスコ・デ・ゴヤゴヤが友人のポルセール夫妻のもとに滞在した際、その手厚いもてなしに感謝して描いたとされる作品。夫人のかぶるベールの繊細なタッチが美しい、ゴヤ晩年の名作です。
ヴァージナルの前に立つ女
ヴァージナルの前に立つ女
ヨハネス・フェルメールフェルメールらしい柔らかな光の表現で描かれた穏やかな表情の女性。ヴァージナルというのは古楽器のひとつで、小型のハープシコード(鍵盤楽器でピアノの前身)のこと。キューピッドが持つカードは「貞淑」を意味しており、恋人への思いを暗示しています。
管理人@博士ちゃんねる
夜のナショナル・ギャラリー
というわけで、しっとりと雨露に濡れる、美しい夜のナショナル・ギャラリーで今回もおしまい。
それでは、Sometime, somewhere, soon!

えーお気づきの方もおられるでしょうけど、実はもう2週間前くらいに更新しないといけなかった当シリーズ。
あまりにも忙しすぎてGWに入るまで更新できませんでした。楽しみにしておられた方、大変申し訳ありません。
ま、連休になるとこのシリーズを見るのが楽しみだというドクターもいらっしゃいましたから、ちょうど良かったんでしょうかね。あまりにも放置しすぎてたので、通常よりややヴォリューム増ということになっています。

というわけで、ナショナル・ギャラリーまとめ、いかがでしたでしょうか。
なにしろヨーロッパの名画家の名作が目白押しという感じですんで、絵画ファンにはかなり楽しい美術館なのかなーと思います。今回ここに紹介しきれなかった作品も多く、いろいろモヤモヤしますが、ロンドンにお越しの際にはゼヒとも抑えておきたい場所のひとつ。

現地に行ける方が羨ましいですよ~!それでは次回をお楽しみに!
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    • ※1 : ドクター・ノオ・ネーム
    • 2016.5.1 6:50
    ロンドン10数回行ってるんだけどココは初回行ったきり
    (何とテート・モダンがまだなかった)
    たまにはまた行ってみるかな…
    • お、すごいですねー。学会かなんかでよく行かれるんでしょうか。
      たぶんテイト・ギャラリーより、品揃えはこっちのがいいと思うんですよね。
    • ※3 : ドクター・ノオ・ネーム
    • 2016.5.4 1:10
    連休夜中の酎ハイにぴったりな記事
    ありがとう!
    • ※5 : ドクター・ノオ・ネーム
    • 2016.5.5 11:40
    クロードロランの絵、初めて見ましたがとても気にりました。
    ところで絵画ってネットで画像検索すると同じ絵でも色の濃さがマチマチな事が多いですよね。
    ロランのこの絵もwikipediaだと色が薄いんですが、どちらが本物に近いんでしょう。
    私にはこのページに載ってるロランの絵のほうが遥かに綺麗に見えます
    • お、良かったです~。

      >絵画ってネットで画像検索すると同じ絵でも色の濃さがマチマチな事が多いですよね
      おっしゃるとおりです。
      これはおそらく、実物をデジカメで撮って、カメラマンがあとで補正をかけるんですが、その色味がユーザーのモニタ設定によって違うってことだと思います。
      全体的にWikimedia Commonsの画像は色が飛んでる感じなので、管理人はよく色調補正して手元の資料と合わせるようにはしてます。
    • ※7 : ドクター・ノオ・ネーム
    • 2016.12.21 0:01
    このサイトにコメントするのは2度目です。
    (以前は3年以上前?)

    ゲインズバラ好きなので良かったです。

    15年以上前にゲインズバラに縁の地に留学経験があるので彼の描いた実物の絵を沢山観て来ました。
    勿論、ナショナルギャラリーやポートレートギャラリー、テートにも合わせて10回以上訪ねてます。

    彼が描く人物画(特に女性)は本当に好きです。
    衣服のヒダの緻密さについて言及されていますが、実際に間近で観察すると
    ハイライトの白を勢い良く一筆書きのようなタッチで描いていて驚きました。
    迷いというのが感じられなかったです。

    あと、風景も勿論も素晴らしい。
    当時のイギリスの空気感が伝わってきます。
    ターナーより個人的に好きです。
    • >※7
      >迷いというのが感じられなかったです。
      以前の書き込み覚えてますよ。
      やっぱりナマで見ないとわからないもんですよね。
      ゲインズバラって「イギリスらしい」作品を残してると思います!
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