若君・宗利が１０歳のとき、剣術の相手をした家臣の子・小次郎が払った剣の切っ先が宗利の目に当たってしまい、失明してしまった。
宗利は、神童と呼ばれて人気のあった小次郎を妬んでいて、小次郎に「自分で転んで傷つけたことにする。誰にも内緒だ」と言って、自分が少し優位にたった気分がしていた。
父親の跡を継いで、領主として国に初めて帰ったとき、小次郎と会おうとするのだが、行方不明になっていた。周りの人に聞くと彼はかなり変わってしまったと言いう。神童としての面影は無くなった・・と。
そんなとき領地内で、百姓たちが一揆を企ているという情報があり、穏便に済ませるにはどうすれば良いのか？を話し合っていた。
ところが、小次郎が独断で一揆を起こそうとしている所へ乗り込み、首謀者である浪人者３人を斬ってしまう。
宗利はその行いに怒り、叱責するが、家臣は「彼は間違っていない」と主君に教える。
一揆を起こすことは当時、大罪と言われていた。お上に逆らうのだから・・。だから、穏便に・・とは言っても何も罰しないとお上として面目が立たない。
でも、浪人者に煽られた形の百姓たちを罰すると反感も高まってしまう。だからこそ、小次郎が１人で首謀者を斬ったのだ。そして彼はその日のうちに切腹した。自分の独断でしたことだからお上には関係ない・・と知らせるために。
宗利は彼の想いに気づき、そっと墓参りをする・・。
自分の主君の目を傷つけて、何事もなかったように生きていくのは難しい時代である。でも主君から「秘密だ」と言われている以上、誰にも言えないし、理由無く自害することも罪。
彼は死に場所を探していたのであった・・・。